サイコミステリーシリーズ 第4作 Innocent Noise リプレイ&レビュー

 サイコミステリーシリーズ 第4作 Innocent Noiseをリプレイ。
 シリーズ全13のうち、最も完成度が高く、かつ重要な作品といえるだろう。

 この作品から、「羽崎静」が出てくる。表向きはルポライターだが、実はシリーズを通して「とんでもない黒幕」でもある。その存在は、表向きの黒幕(?)のディッシュ・サンよりもワルである。その上、遥に接するときの表情は実ににこやかなのであるが、その裏にはとんでもない怨念が隠されているといっても過言ではない。

 どうでもよいが、この手の探偵シリーズにはルポライターというのがよく出てくる。アルティの朱津川シリーズの主人公(朱津川国彦)の職業もルポライターということになっている。もっとも、昔は傭兵をしていたようだが・・・・。

 おっと、話がそれた。本作品の導入編では、医学生・高秋を殺した警備員・井出が自殺する。この警備員、非常にまじめであり、自殺する動機など見あたらない・・・のであるが、ケータイ&ゲーム好きが災いして落命する。なお、医学生・高秋は本編とは全く関係がない。

 当所、衛が医学生・高秋を殺したとして誤認逮捕されて拘置所に入れられるが、このときのアリバイに関するトリックは実に単純で、私もすぐにわかった(鏡と小さな窓と机、カーテン、でピン!と来る)。が・・・これはほんの序の口にすぎない。

 その後、一見したところ全く無関係な2人の男性(ガソリンスタンド店員・水原と医学生・牧原)が自殺するのであるが、その裏には、羽崎静が一枚咬んでいる(2名の自殺現場のいずれにも姿を見せる)。
 本作品では、羽崎静はルポライターとして咬んでいるように見せかけているが、実は、Innocent Noiseが効いているかどうかを、その目で確認しているのだろう。

 まぁ、本作品では、犯人はたぶんこの人じゃないかな〜という感じになる。私は、これはこれでよいのではないかと思っている。伏線も全くなく、いきなりこの人が犯人!というような持って行き方は、サプライズがあって、それはそれで面白いときもあるのだが、あまりにも唐突なものになると、「はぁ?」という感じになってしまう。それよりかは、犯人のアリバイや動機が徐々に解明されていく方が面白い、と思うのだ。

 さて、「Innocent Noise」であるが、これは耳には聞こえないが、脳を狂わせる信号音である。ガソリンスタンド店員・水原のケータイを遥が拾ったが、その後遺留品として提出するのを忘れ、持ち歩くことで「Innocent Noise」が発覚する。ここでも、「人間の精神とは、脳の中の数ミリボルトの電圧にすぎない」ということを思い出す必要がある。

 しかし、このInnocent Noise、実在すれば恐ろしいものであろう。

 物理的な「ヒト」と、精神的な「人」とを分離し、精神的な「人」を外部から制御して物理的な「ヒト」を支配する、というものだからだ。その上、無関係な人まで傷つけ、場合によっては死に至らしめる(医学生・牧原の両親)。

 では、誰がこんなものを作ったのか・・・・、そしてストーリ上の伏線は・・・ということになるが、鴻神夜斗がInnocent Noiseを作り、それを医学生・内藤に渡し、内藤は恋人(女弁護士・宇都木 桂)を死に至らしめた4名(井出、水原、牧原、女子高生・南野)を、ケータイアプリを介してInnocent Noiseで殺していく・・・・。さらに、井出、水原、牧原、女子高生・南野が女弁護士・宇都木 桂を死に至らしめる際には、誰も直接的な殺人には手を染めていない・・のである。

 う〜ん、ストーリーの展開の良さには脱帽・・・。
 無論、これだけではない。水原のケータイからInnocent Noiseを聞いてしまった遥は発狂するのであるが、本シリーズを通してこれが実に重要なのである。
 これが、羽崎静の本当のねらい、なのである。

 シリーズ第3作(Sin〜罪〜)で、鴻神夜斗の肉体は滅ぶ。鴻神夜斗(第3作のプレーヤー)は、衛といっしょになって捜査にあたるのだが、実は第1作(Three)の末尾で肉体を失ったディッシュ・サンに徐々に精神をむしばまれ、最終的には乗っ取られる。つまり、肉体は鴻神夜斗、精神はディッシュ・サン、ということになる。
 これに気づいた遥と衛は鴻神夜斗を谷底に落として殺す(=鴻神夜斗の肉体を滅ぼす)・・・・のであるが、鴻神夜斗を愛した羽崎静は、遥と衛をどうしても許せない・・・ということになる。
 だから、鴻神夜斗が残したInnocent Noiseを使って、遥と衛に復讐する・・・というのが、実は次の作品・第5作(Cold Rain)の最後に待っている、という展開になるのだろう。無論、プレーヤーは全くこのようなことに気が付かないまま、最終作を迎えることになるのだが・・・。

 鴻神夜斗が残したInnocent Noiseは、医学生・内藤と羽崎静に渡され、その医学生・内藤がどういう風に用いたか、というのがこの4作目であり、羽崎静はどうつかったか・・・というのは、最終作で明らかになる。

 話を第4作 Innocent Noiseに絞るが、この作品では、解明されなかった謎、というものがほとんどない。なので、後味の悪さというのはほとんどない。

 第2作目(Angel Cry)では、真犯人が虐待されている嬰児を拉致する動機はわかったが、実際にどのようにして虐待されている嬰児を親元から拉致していったのか、という点はあまり明瞭にされない。

 第3作目(Sin〜罪〜)は、解明されなかった謎の方が圧倒的に多い。まぁ、全シリーズ13作品の流れからしても、これはやむを得ないのであるが・・・。

 第5作目以降は、小さなものも含め、全シリーズを通しても解明されなかった謎、というのが存在する。

 実に本作品は面白かった。13作品のうち、最も完成度が高いと言えるであろう。
 さて、次は第5作・Cold Rainか・・・。
 この作品は、現在と過去とを行ったり来たりする上、遥の父親の死、という重たい内容を含んでいるので、なかなか進まない(積極的にプレイしようと思わないのだ・・・)。

 また、その割には、犯人が、「え?」という感じであるのもな〜。

 でも、プレイしないわけにもいかない。ただ、本作品(第4作・Innocent Noise)と比べれば、第5作の位置づけはそう密接ではないことも事実だな。



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