サイコミステリーシリーズ 第5作 Cold Rain リプレイ&レビュー

 さて・・・このリプレイ&レビューも5作目。この作品は、サイコミステリーシリーズの中で最も気が重たい作品であろう。まぁ、理由は言うまでもないが、犯人(真犯人ではない)に遙の父が殺されてしまう、というシーンがあるからだ。その上、遙は未来視でこれを事前に見てしまう・・・。

 この作品で特徴的な問題(?)として、真犯人の動機はストーリー上で明らかなのであるが、各事件においてその手口が全く明らかにされないことが挙げられる。う〜ん、これはどうなのだろう・・・・?

 1人目の事件ではどうにでもなるだろうと思う。まだ遙とタッグを組んでいないからだ。それからは、遙とタッグを組む。となると、事件を起こせる時間、というのもかなり限られるはずなのだが、2人目の事件が生じる。この2人目の事件では、遺体が漂白かつ切断されているというショッキングなものであるが(注:画像は出ないが)、真犯人にこんなことしている時間があるのか、と感じてしまう。

 3人目。このあたりからかなり強引な展開となる。拘置所の中で事件が起こる。通常ではまず考えられない上、拘置所の中の冷凍室、という、普通では考えられない箇所で生じる上、真犯人はいったん殺人を犯した後、その後遺体を放置し、もう一度拘置所に戻って遺体を切断して逆さ吊りにする。実際にはあり得ない・・・。

 4人目。もっとわからない。マル暴事務所に行くと、女組長が毒殺されている。しかし・・・なぜ組員が一人もいないのであろうか??その上、遙は3人目の現場(拘置所)から直接、この事務所に向かっているはずなのだ。たしかに、ストーリー展開上も、この4件目の事件では「時間がなかった」ということになっているが、いくらなんでも無理があるんじゃないかな。女組長が茶を飲まなかったら真犯人はどうするつもりだったのだろうか。それに、組員をどうやって下がらせたのか???
 なお、4人目の事件では、未来視が実にうまいように関連している。また、未来視を使うタイミングもうまいこと計算されている。この辺は、単なるアドベンチャーゲームとは一線を画するだろう。

 話を戻そう。いくら警察関係者だからといって拘置所にそう簡単に出入りできるのか・・・。なお、どうでもよいが(いや、よくないか・・・?)、ここから「看守の木島」が出てくる。それほど正義感の強そうな人には見えないし、そういう伏線やシナリオもないのだが・・・??

 5人目。ほぼラストシーンで犯人(注:真犯人ではない)にたどり着く。真犯人が犯人を殺そうとしている現場に到着するのだが・・・。この展開なら、遙も真犯人が犯人を殺すことに同意・暗黙の許諾を与えるような感じもしてしまう(無論、不作為とはいえ、遙も殺人罪に問われることになるが・・・)。

 残念ながら(?)、この作品では、真犯人が実際に犯行を犯す手口、というのが明らかにならないし、シリーズ全13作品を通しても、結果的に明らかにはならない(全作品に流れるバックグラウンドに、本作品は関係していないためだ。この作品の真犯人だけ、最終作で出てこない)。なお、次の作品(Bloody Tears)でも、この点はほぼ同様と言って良い。このあたりから、何か急速に開発が推し進められたという感がある。これは、会社の経営状態(2006年度決算が赤字)と無関係ともいえないのかもしれないが・・・。

 また話が脱線してしまった。う〜ん、真犯人が実際に犯行を犯す手口、というのが明らかにならない点は、アドベンチャーゲームとして実に微妙なのだ。どうしても解けない謎、というのが残る。これは、私にとっては実に気がかりなのだ。
 さらに、各事件では、体の一部が切断されているのだが、切断されたその一部はどこに・・・? 真犯人にとっては、切断された体の一部に意味はないはずなのだが?

 しかし、これらを差し措いても、本作品はおもしろい。「え、この人が犯人!?」という展開になったとき、そこには「動機」の伏線が張り巡らされているからだ。2作目(Angel Cry)とは異なり、この展開がなされるときには高揚感がこみ上げてきた。そうか、そう考えれば・・・・と、頭の中で思いや思考がグルグルを回り出す(Angel Cryにはこれがない・・・)

 ただ、もう少し、6年前の事件の5人目の被害者と真犯人との関係がわかるような伏線を張っておくべきだったろう、と思う。5人目の被害状況に回帰するシーンがほとんどない。

 もっとも、本作品の主眼は、手口が6年前の事件と類似するという点に基づいて、真犯人ではない犯人が犯人と思わせるような展開としておいて、実は・・・・という点にある。最初にプレイしたときには、ほんと、この展開にまんまとひっかかってしまうのだ。何か奇妙だな・・・と思いつつ、そこが楽しい。

 本作品の展開がすこしわかりにくい理由として、ビジュアルが挙げられる。この作品、6年前と現在とを往復するのだが、6年前に1件目の事件がおきた現場(高校の屋上)と、現在で1件目の事件がおきた現場(中学校の屋上)とのビジュアルが全く同じなのだ。この他にも、6年前に3件目の事件がおきた現場(精肉工場の冷凍倉庫内)と、現在で3件目の事件がおきた現場(拘置所の冷凍倉庫)とも同じなのだ・・・・。容量の都合があるということは理解できるが、例えば、色を若干変更するなどすれば混同しなくて良かったのではないかと思う。最初、プレイしたときは混合してしまった。

 ところで、この作品でも、「羽崎静」が出てくる。エンディングで猿ぐつわをはめられた(注:実際には画像なし)「白河電工の秘書」が出てくるのであるが・・・・。最初、猿ぐつわをはずされた後のこの「白河電工の秘書」が言っていること&それに対する遥の言動、はよくわからなかった。
 しかし、「白河バカ息子を釈放することで最も利益を得る者」という観点から考えると、白河バカ息子と拘置所内で接触する「髪の短い秘書」とは、おそらく羽前静であろう・・・。
 しかし・・・羽前静、したたかな女性(にょしょう)だ。全くそのような素振りを見せない。ほんと、これは最終作の最後になるまで・・・。・・・その上、本作品(Cold Rain)の末尾で、決定的な事件が起こる。

 本作品は2009年の今現在、全てリリースされているが、これが開発中で順次、リリースされる時期(2006年頃)であったら、どうだったであろうか。次の作品(Bloody Tears)がリリースされるまで、実に楽しみだったに違いない。もっとも、次の作品で、この決定的な事件の真相が暴かれる訳でもなく、最終作まで分からない。これが、肩すかしを食らうようではあるが、サイコミステリーシリーズの奥の深さなのであろう。

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